「Ⅳ」私はといえば、その後もありとあらゆる妨害をされました。 帰ろうとするとどこからともなく大勢の外人がわっと寄って来て 私を取り囲み口々にわめきます。 私には何を言っているのかわかりません。 しかも、もの凄い形相でわめくのです。 恐ろしい形相です。 体格の大きな外人が5人も6人も小さな私を取り囲みます。 私は身長151cm体重50㌔くらいです。 それが毎日何度となく続きます。 決して身体には触れません。 外から見ている人には彼らが作っているサークルの真ん中に私が いる事などわかりません。 私がしゃがむと覆い被さるようにして口々にわめきます。 私はその度にしゃがんで頭の中で童謡を歌っていました。 警察へ行っても信じてくれないのを承知の上で彼らはやるのです。 私は以前、弁護士団と共に仕事をしていた時期がかなりあり 警察は私の話に一応、耳を傾けてくれました。 これが一般の人だったらどうであったかと思うと背筋がゾ~っと します。 被害者が私で良かったと何度思ったか知れません。 一般の人だったら・・、とっくにT君のように尋常でなくなって いたでしょう。 私でも「これは何なんだ?」と思う事ばかりでした。 そうかと思えば、3~4人で私の店の前に並んで立ち、Sが 「お前のような日本人の馬鹿」から始まる呪文のような言葉を 浴びせにきます。 同じ事ばかり言います。 いつも同じ内容です。 「日本人のような馬鹿は早く全滅すればいい」 「もっと、もっと、馬鹿者ばかりにしてやる」 「日本人はみな抹殺してやる」 「日本人のような馬鹿がいい服着て、いい車に乗っているのは 何かの間違いだ」云々・・・・。 そして最後はいつも 「私達のような世界一優れた人間だけが生き残る」 という言葉を残して去って行きます。 当時、巷では「オーム真理教」が社会問題になりかけていたので 警察では「あいつら、オーム真理教かなぁ?」と言いました。 私は「オームならあんな服装はしないでしょ?」と言いました。 私は童謡をたくさん教えて育ててくれた父につくづく感謝しまし た。 情操教育というものは大切なものです。 悲しい時、困難な時、嬉しい時、その時々に体の奥底から 涌き出でてきます。 芸術も大切なものです。 人生の暗礁に乗り上げた時、私を助けてくれました。 そういう物を身につけておいたからこそ、どんな境遇になっても トコトン落ち込む事もなかったし、むしろ心豊かに くちびるに、微笑みと歌がありました。 そして神、仏、父、母、祖母、おじ、おば達に感謝の祈りを 捧げる事ができました。 |